今日、仕事で映画に関する原稿を書いていて、ふと手が止まりました。
お芝居・演劇の中に登場するキャラクターを説明するときは「劇中の人物」、小説や物語なら「作中で起こった事件は…」のようにいいますよね。
では、映画は?
作中、それとも劇中?
どちらが正しいのか、ライターとして調べてみた結果をまとめました。
まずはネットで検索(笑)
私がライターとして仕事をはじめた15年前は、まだまだインターネット上の情報も少なかった時代。
「図書館に住みたい」なんて思ったこともよくありましたが、今はまずネットで検索が一番早いです(※一番正しいとは言ってない)。
しかし、「映画 作中 劇中 どっち」などで検索してみても、そのものズバリの回答は見つかりません。
経験上、こういう時はそれ以上探しても見つからないので、さっさと別の方法に切り替えます。
そして、あとで私がドンピシャの記事を書きます。
新聞雑誌ではどうしてる?「記者ハン」で確認
信頼できる日本語の表記といえば、学校の教科書の次に思い浮かぶのは、新聞や雑誌などの印刷物ではないでしょうか。
実は、新聞記者さんたちが記事を書くときに、表記に迷ったら見る本があるんです。
それが、共同通信社から出ている「記者ハン」こと「記者ハンドブック」。
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例えば、サッカーの記事を書くとき、選手たちを「イレブン」と書くのか、それとも「イレヴン」なのか。
「二・二六事件」と書くのか「2・26事件」なのか。
「受賞を知り、跳び上がって喜んだ」と書くべきなのか、「飛び上がって喜んだ」なのか。
(※記者ハンではすべて前者が推奨されています)
これらを、統一表記としてまとめた本が「記者ハン」で、私も1冊そばに置いているのですが、残念ながら、この「作中」「劇中」の使い分けは載っていませんでした。
ライター仲間に聞いてみる
会社員だと、何か分からない時には上司・先輩・同僚に聞くこともできますが、フリーランスのライターはすぐ横に同業の人がいないのが辛いところです。
し・か・し!
私は、文章を愛する人のためのサロン「200サロン(名もなきライターさん主宰)」と、ライター800人以上の所属する「ライター組合(佐々木ゴウさん主宰)」に所属しているので、こんな時、仲間のライターさんにオンラインで自由に質問することができるんです。
さっそく聞いてみたところ、次のようなお答えが。
なるほど…さすがです。
このやりとりの途中、「そうだ、映画評論サイトを見てみよう。そこで多くの人が使ってる方を採用しても良いんじゃないか」と思いつき、10サイトほどページ内検索してみました。
…が。
結果はまさかの、「両方ゼロ」。
ほとんどの記事で、「作中」または「劇中」が使われるべき箇所には「映画の中では…」といった表記が使われていました。
それはなにか隠された禁止事項でもあるのじゃないかと疑いたくなるほど(笑)。
(もしかして、みんな迷って使用を避けてるんだったりして…)
ただ、これに対しても友人のライターさんが
とアドバイスしてくれました。たしかに…感謝です。
最後はやっぱりプロの力!校閲担当者様に質問
と、ここまで調べてきた結果、完全にこっちという決まりはないものの、どうやら”作中”がふさわしそうだぞ…という気はしてきました。
そこで、原稿はひとまず「作中」で仕上げて、クライアントであるメディアの編集担当さんに判断をゆだねることにしました。
私のブログなら私が最終決定すればいいのですが、企業メディアに掲載される記事なので、細かい表記は先方のルールが優先されます。
ちなみに、最近のメディアでは、校正・校閲担当者がいる場合と、編集部の担当者さんが兼任されている場合、両方があります。
今回は校閲(事実関係や論旨のチェック担当)さんがいるメディアなので、そちらにご確認下さいとコメントをつけて納品したところ、次のようなお返事をいただきました。
基本的には、「作中」で問題ないと思います。
演劇以外であえて「劇中」を使うとすれば、「劇中劇」のような熟語、または「物語性のなかで」というニュアンスを強調したいときに限られるでしょう。
おわりに
ということで、今回のように、単純に「映画の中で」と言いたいときは、「作中」で問題ないようです。
とはいえ、上記はすべて各人の意見ですので、ソース(文献)等は示すことができません。
映画には「作中」?「劇中」?と迷っているあなたのお役にちょっとだけ立てれば幸いです。