2019年、「老後の貯えは2000万必要」という金融庁の報告書が世間をゆるがしました。
この是非はともかくとして、特に自営業やフリーランスの人は国民年金だけでは将来の生活が不安になりますよね。
そこで、自分でもコツコツ老後に向けてお金を貯めるのにおすすめとされているのが「iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)」です。
毎月の掛け金がそのまま所得から全額控除され、運用益や将来受け取るお金にもほぼ税金がかからないiDeCoは、特に40代以上のフリーランスには貯蓄&節税の一石二鳥でおすすめの方法だと思います。
今回は、私が今年iDeCoを始めたときの実際の手順を紹介します。
ぜひ参考にして下さいね。
副業ライター→独立フリーランスで月収5倍!節税対策が必須に
私は2018年、パートしながらの「副業ライター」から完全フリーランスとなり、2019年現在は個人事業主としてライターをしています。
思いきってフリーになった結果、1年目で月収は約4~5倍と大幅に増えました!
もちろん労働時間も2倍くらいにはなっていますが、やっぱりパートは時給が決まっているので、自分で仕事を選んだり価格交渉したりできるフリーランスとは大幅に収入が違うことを実感しています。
本当に独立して一定の収入を得ていけるのかしばらく様子を見ていたのですが、おかげさまで長期入院でもしない限りはなんとかやっていけそうです。
ただ、夫の扶養からは完全に外れてしまうので、所得税や住民税の支払いが発生します。
国民健康保険と国民年金も当然自分で払わなければいけません。
初めての通知と振込み用紙が届いた時に、まとめて払うと少し安くなるので全額を前納してきましたが…しゅごい金額…(泣)。
(※まとめて払う=前納 で割引制度があるのは年金のみ。健康保険については多くの自治体で割引はなく、私の居住地でも2011年に廃止になったそうです)
そこで、次年度の税金や保険料が少しでも安くなるよう、節税と老後資金作りを兼ねてiDeCoを始めることにしました。
最初は節税目的100%だったのですが、よく考えればどっちみち貯蓄も必要だと気づき。
iDeCo(個人型確定拠出年金)についてざっくりと説明します
私の周囲には実際に「iDeCoやってるよ!」って人がいなかったので、おもにネットを通じて情報収集したり教えてもらったりしました。
ざっくりいうと、iDeCoは「自分で選んで運用する年金」(私的年金)です。
厚生年金や国民年金などの公的年金は、みんなから集めたお金を国が「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)」に預け、まとめて運用しています。
iDeCoでは私たち1人1人が銀行や証券会社などの金融機関を選び、お金を預けて(拠出といいます)運用してもらいます。
ただ、掛金額や税制上の取り扱いについては「確定拠出年金法」という法律で一定のルールが決められていて、その範囲内で加入することになります。
ここまで読んで、「よさそうだけど、もしかして自分は入れないんじゃ…?」と思った方。
安心して下さい、20歳以上60歳未満なら誰でも加入できます。
(金額などは人それぞれ異なります)
ただし、国民年金の未納がある人は断られることがあるのでご注意を!
詳しい情報は、国民年金基金連合会「iDeCo公式サイト」にまとまっていますので、不明な点はここから確認するのが間違いないです。
参加しているオンラインサロンで、実際にiDeCoをやっている方がいたので、「おすすめのサイトや本があれば」とお聞きしたところ、次の本も教えてもらいました。
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どこかの金融機関が出している本ではなく、個人のFPさんが書いた本なので、中立的で安心して読めます。
Kindle版はこちら→個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)活用入門
という人は同じ作者の本でつみたてNISA入門もあります。(こちらは私は読んでいないのですが、ご参考まで)
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iDeCoの選び方、3つのポイント
iDeCoを始めるときに決めることは次の3つです。
- 月々いくら掛金を出せるのか
- どこに預けて運用してもらうのか
- 運用の中身はどうするのか(株式・債券・預金など)
iDeCoの月々の掛金はいくら?
iDeCoは、現在では掛けた金額がまるまる所得から控除されるという非常にお得なしくみ。
でも、それだったら、
と考える人が出てこないとも限りません。
いや私ならそうする。するやろ普通。
そうならないため、掛金(拠出額)には上限が定められています。
こういうのってだいたい、上限額は収入に応じて…というパターンが多いですよね。
しかし、iDeCoはそういう決め方ではなく、その人の加入している保険の種類(1号・2号・3号)によって上限額が決まっています。
私はフリーライターで個人事業主(1号)なので、上限額は68000円とかなり多く預けられます。
※ただし、「国民年金の付加保険料(月400円)」を納めている人はその分を差し引く必要があります。iDeCoの掛金設定は1000円単位なので、上限額は67000円になります。
会社員・公務員(2号)の人は、勤め先の制度に応じて12000円~24000円が上限です。
専業主婦・専業主夫やパートの人(3号)は23000円が上限。
パートナーの扶養に入っていると、
年間103万超えたくないのに、年末パート先が忙しくてシフトを減らせない…
と困ることがあると思いますが、iDeCoを掛けておけば年間27万円以上所得控除できるので無理に扶養内におさめるための休みを取らなくても済む可能性が。パート先にも感謝されそうですよね。
そして私の掛金額ですが、いきなり上限MAXは心配だったため、最初は30000円で始めましたが、その後上限まで増額しました!
もし急に病気になったり仕事が途絶えたりしても、最低5000円/月まで金額を減らして続けることも可能なので、そんなに心配せず節税メリットを最大にしておけばいいやと。
なお、どうしても払えないとなったら、それ以降の拠出をやめ、毎年の管理費だけを払って60歳まで運用してもらうこともできます。とはいえ、もったいないから少額でも続けるか、余裕が出たら再開したいところですね。
iDeCoはどこの金融機関を選べばいいのか
現在、iDeCoを取り扱っている金融機関は160以上あるそうです。(iDeCo公式サイト:運営管理機関一覧はこちら)
あちこちに分散はできないので、その中から1社だけを選ぶことになります。
どこを選ぶかは人によって価値観が違いますが、次のような点がおもな比較ポイントです。
- どんな商品を揃えているか
- 口座管理手数料
- サービス内容(手続きが分かりやすいか など)
商品ラインナップについては別の記事で詳しく書いていますのでぜひ読んでみて下さいね!
金融機関ごとにけっこう違うのが「口座管理手数料」です。
国民年金基金連合会や事務委託先金融機関には全員が171円/月ずつ払うのですが、各銀行や証券会社に払う手数料は0円~450円程度と幅があります。
サービス内容は、ネットで契約する場合、手続きはわかりやすいか、サイトは見やすく使いやすいか、資料は揃っているか、セキュリティはしっかりしているか、分からないことがあったら電話で聞けるか…など色々考えられます。
「少し割高でもいいからネットでなく窓口で人に対応してほしい」というニーズも考えられますが、iDeCoに加入するのは50代以下なので、ネットに抵抗がない人も多いでしょう。
それでもやっぱりネットはちょっと…という人には、いつも利用している近所の銀行や、イオンの店舗で相談できる”イオン証券”などがいいかもしれません。
掛金をどんな内訳で運用するのか(掛金配分)
iDeCoの掛金を何に投資するかは自分で決めなければいけません。
金融機関におまかせという選択肢もありますが、できれば自分で知って選びたいですよね。
銀行や証券会社などにより、商品のラインナップはさまざま。減るリスクを覚悟で大きく増やしてみたいのか、儲けは少なくても減らしたくないのかによっても選ぶ商品は変わってきます。
それぞれの運営機関で商品のラインナップを見て選べるようになっていて、1商品に100%投資しなくても、50%:50%や、20%×5商品など自由に配分を指定できます。
なんか詳しい人みたい。(笑)
私が実際に配分をどう決めたかについては、次の別記事で詳しく書いていますのでぜひ読んでみて下さいね!
iDeCoの運用機関決定、私の場合は
ネットで手続きが完結するのが便利だと思ったので、ネット証券から選ぼうと思いました。
またまたサロンなどでいろんな人に聞いてみて、最終候補にしたのは以下の2社。(ていうか、最終候補とか言うほど綿密に調べてませんでしたすみません)
どちらも金融機関の管理運営手数料が0円だったんです。
サービス面はどちらも問題なさそうですし、商品ラインナップは…正直、その時はまだわかっていなかったんですよね(^_^;)
加入後すぐでなくても、商品は一定期間内に決めればOKということだったので、とりあえず少しでも所得控除を!と思い申し込みました。
SBIと楽天、どちらに決めても問題なかったのですが、私がメインでお仕事しているクラウドソーシングの「ランサーズ」では報酬の振込み先を楽天銀行にすると手数料が安くなるので、ちょうど口座と仕事用のカードを作ったところだったんです。。。
その流れで、まんまと「楽天経済圏」に突入。iDeCoも楽天で揃えてしまいました。
楽天の各サービスはそれぞれ1つの画面で切り替えできるのも便利ですね。
(ただしセキュリティ上、銀行・カード・証券・ショッピングのログインIDやパスワードはそれぞれ別です)
さらに、楽天銀行の口座から楽天証券の口座へ資金を自動的に移してくれる「楽天マネーブリッジ」にすると振込み手数料が無料&普通預金が0.1%と優遇金利になるので、そちらも設定してあります。
ネットで申し込み手続きが完了すると、数日で書類が届くので、記入して必要なものを揃え返送するだけ。窓口になどに行く必要はないので、仕事が詰まっていても負担になりませんでした。
iDeCo以外に節税・貯蓄できるモノはないの?
ここまでiDeCoのお話をしてきましたが、最後に、40代のフリーランス向けに、iDeCo以外で所得控除できて老後資金も作れる方法を紹介しておきます。
国民年金基金
iDeCoが始まったのは2001年(当時は401Kという名称でした)ですが、それ以前、厚生年金のない自営業などの1号被保険者が老後に備えるといえば「国民年金基金」でした。
国民年金とは別に基金に加入しておくこととで、将来年金額が上乗せされる制度です。
iDeCoと違うところは、
- iDeCo:月々の掛金を決めて運用→受取額は最後に決定
- 国民年金基金:将来の受け取り額を決めて、逆算して月々の掛金を決定
という、金額の決め方についての部分ですね。
私が結婚退職後に年金の手続きに行った当時はまだiDeCoがなかったので、「年金が二階建てになりますよ~」と窓口で基金をすすめられたのを覚えています。
といっても、今調べたら、国民年金基金も1991年からの制度なのですね。
これらの制度ができるまでの自営業(1号)の人の年金額は、厚生年金のある会社員と比べると少額でした。
商売がうまくいっていれば豊かに暮らせたでしょうが、そうでなければ、バブル直後に60歳になった方などは悠々自適にリタイアなんてとても無理!という状況だったのでは…と今さら思いました。
導入のいきさつなどはこちらで確認できます↓
掛金の上限はiDeCoと同じく68000円/月ですが、iDeCoにも加入している場合は、基金と合計で68000円までになるのが注意点です。
自分で投資先を選びながら運用したいならiDeCoで掛金を追加する、または切り替える手もありますが、すでに満額まで基金に加入している人は、場合によっては手数料が余計にかかったり、解約で目減りする可能性もありますので慎重に考えた方がよさそうです。
小規模企業共済
ずいぶん前に、フリーランス対象の税理士さんの無料セミナー&相談会にふらっと参加したことがあります。
その時は副業でライター収入が年間10数万円という状態だったので、節税の方法もふーんと聞いていただけだったのですが、今調べていて、「ああ、あの時の先生も教えてくれたな!」と思い出しました「小規模企業共済」。
こちらも、国民年金とは別に月々掛金を積み立て、将来は年金として受け取れるものです。
加入できるのは、ざっくり言うと20人以下(建設業・製造業など)または5人以下(小売業・サービス業など)のいわゆる「小規模企業」の社員です。
掛金は1000円から上限70000円/月。
掛金は全額所得控除できるのに加え、iDeCoと併用できるのがいいところ。
両方を上限まで設定すれば、合計で138000円/月で、なんと年間165.5万円も所得控除されるんですね!翌年の税金はかなり安くなるはずです。
とはいえ、例えば月収が20万円の状態で、毎月13万8000円を老後まで引き出せないiDeCoや共済に預けてしまうと、生活費や学費など近々必要なお金が残りません。
当たり前ですが、予算に応じて金額を設定するのが鉄則です。
小規模企業共済がiDeCoと違う点はおもに次の2つ。
- 途中で解約できる(20年未満で解約すると元本割れします)
- 事業が苦しい時は低金利で借入ができる(担保・保証人も不要)
ちなみに「小規模企業共済は20年以上入っていないと元が取れない」という話を時々聞きますが、これは、個人事業を続けているにも関わらず途中で解約した時(解約手当金)の話。
個人事業を廃業・企業に就職したという場合や、個人事業が法人になった場合は、たとえ加入期間が5年や10年でも上乗せした額または同額が戻ってきますし、「老齢給付」としてなら65歳以上で180か月(15年)以上掛金を払い込んでいれば元本よりは多く受け取れます。
また小規模企業共済は、60歳で終了することはないのがiDeCoと違うところ。
人生100年時代のいま、40代でスタートしても65歳や70歳まで継続すれば十分に掛金以上の金額が受け取れるので、余裕があればiDeCoと併用したいですね。
私も来年は始めようと思っています。
■詳細は「中小企業基盤整備機構公式サイト」にて
つみたてNISA
これからは将来に向けて誰でも投資しておくべき…といっても、いきなり個別の株式や債券・不動産などに個別に投資するのはハードルが高いですよね。
そんな人向けに、投資しやすい商品をまとめたファンド(”おすすめセット”みたいなもの)を年間40万まで買えて、儲けが出ても非課税にしておくから細く長く続けてね~という発想なのが「つみたてNISA」です。
iDeCoとは違って、子どもの学費や病気の治療費などまとまったお金が必要なタイミングで引き出せるので、20代からの若い世代でも始めやすいのがメリットです。
ただ、掛金は所得控除されませんので、より節税を重視する人はiDeCoを選ぶといいでしょう。資金に余裕があればもちろん併用もできます。
おわりに
今回は、40代でフリーランスの私がiDeCoに加入するとき、どんなことを調べて、どんな基準で決定したのかを実際の例で紹介しました。
参考になれば幸いです!
なお、掛金の配分を決める時は別の記事で詳しく書いています。
そして私が配分の際に考えていたことは、あとで人に聞いてみると、実は…世界最先端の投資基準だったそう!
それについては以下の記事でぜひ↓
※今回の記事でご紹介した内容は2019年現在のものです。ご自身でiDeCoや投資を始める際には、各年金制度や金融機関の公式サイトなどで最新の情報をご確認下さい。