私もガンガン使っている、生きた大阪弁の宝庫
著者の森綾(もり あや)さんは、大阪出身の作家。
他人の目を気にしすぎ、ちょっとでも変わったことをすると即SNSで叩かれるような、東京の…いや日本の暮らしに閉塞感でいっぱいになった時、ふと、子ども時代の「大阪のおばちゃん」の、人情味と生命力あふれる言葉の数々がよみがえったのだそうです。
誰もが知っている、
「飴ちゃん食べるか」
に始まり、
「あほらしもない」
「よう言わんわ」
「食べてすぐ寝たら牛になるで」
などなど、リアルに母も近所のおばちゃんも使ってた言葉のオンパレード。
もちろん私も、
「知らんけど」
↑すごいヘビロテで言いますね。(笑)
「この道バーっと行ってガッと曲がったところ」
↑いつもこうやって道を説明してます。(笑)
また、それぞれの名言に添えられた考察が、作家かつ大阪弁ネイティブならではのドンピシャさで素晴らしかったです。
「うちの男前が帰ってくるさかい」には
夫、息子などを出迎えに帰らなければならないため席を立つときに、あえて「男前」などと言う。
そうそう~!さらに続けて
逆に「ハゲが」などと言うこともあるが、むしろ「ハゲ」なほうが実際は「男前」なこともある。
いやもう、本当にそうです。
父を思い出してホロリとくる言葉も…(注:父、元気に生きてます)
「あんじょう頼むわ」って分かります?
標準語だと「よしなに」みたいな意味でしょうか。
本の解説では、
深く細やかな指示はせず、「適当に、しかもうまくやっておいてほしい」ということを依頼している。
となっています。
私の父は、船場(=せんば。今の大阪市中央区)の商家で育ったので、私の子供時代にもNHKの朝ドラ関西版みたいな言葉をふつうに使ってました。
5歳くらいの私は、お祭りに行く前、浴衣に子供用の金魚みたいなひらひらの帯を自分で結んでみました。
でも曲がっていたのでしょうね、父が
「さっぱワヤやな、あんじょうしとかなあかんで」
といいながら直してくれたのを思い出します。
そういえば最近あまり聞かなくなったなあ。父は末っ子なので、兄である伯父さんたちも亡くなってすいぶん経つし、同じ言葉遣いの人がもう周囲にいないのでしょうね。
他にも
「つんつるてんやがな」
「フレッシュ下さい」
(「レーコー」」もある)
なんかは、大阪でしか通用しないということを、大人になってからテレビ番組とかで知りました。
大阪人が読んで楽しめるのはもちろんのこと、転勤や結婚で大阪にやってきた人にとっては、「大阪的発想はこうなってるのか」という参考になるし、私みたいに大阪を離れて暮らしている人は、子どもの頃を思い出し、とても懐かしい気持ちになれると思いますので、ぜひ。