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150人待ちで読みました!村上春樹「騎士団長イデア編&メタファー編」

2017年2月24日発売の、村上春樹『騎士団長殺し』。

ちょっと遅れて3月に図書館で予約したところ、150人超の予約が入っていて、やっと手にできたのは1年2か月も経ってからでした。

騎士団長殺し 図書館での予約人数画面

「買えよ」ってね…(^^;)

私はハルキスト(村上春樹さんの本を欠かさずに読むファン)ではないのですが、高校生の頃「ノルウェイの森」読んで以来、そこにしかない世界観を体感しにテーマパークへ行ってしまうみたいに、新刊が出るとたまに読んでいます。

今回も久しぶりに読みたくなって。

でも、家計のこともあるので最近はいきなり本は購入せず、まず図書館で借りて確認するのが常となってます。

というわけでの150人待ちの『騎士団長殺し』、さっそく読んでみました。

※ストーリーのネタバレあり〼(ます)。これから読もうと思ってる人は、後日ぜひ!感想を分かち合いにいらして下さい。首を長くしてお待ちしています。

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冒頭は女々しい繊細すぎる行動が続いて少々イラつく

でもね、(村上ワールドではよくあることなんだけど)のっけから奥さんが浮気をして、別れてって言われるんですよ。

奥さんは「私が出ていく」って言ったんだけど、一人残されるのが耐えられない主人公は、自分が出ていっちゃう。車で2か月近くも放浪して、サンドイッチ注文したけど一口も食べられなくてお持ち帰りにしてもらって、仕事先に「もうできません」って電話して、川に携帯電話を投げ捨てちゃう。

36歳なのに…女々しすぎ傷つき易すぎやろ!

と夜中に一人で突っ込んでたら、高校生の娘が「何読んでるの」とやってきて、説明すると「そんな男ぜったいイヤだ」と娘も言う。そうだよね。

だけど興味は持ったのかなと思い、「私の後で読む?」と聞いたところ、「先輩が『未成年にふさわしくないシーン』がやたら多いって言ってたし、いいわ」と断られました。

上巻の途中から急展開にゾクゾク

久しぶりに読んだので、こんなんだったっけ?と思ったのが、なんだか描写が長いこと。

ある心境を表現するのに、ひとことで済むところを3~4行かけて書かれてる感じ。

「僕たちはお互いがお互いの欠けた部分を精神の一部に保持しており、一人が沈めばもう一人が浮き上がるというように奇跡的なバランスでそれを受け渡し生きることができていた」
(私が今適当に作った、ありそうな文章です。レベルが低く申し訳ありません。)

だけどこれって7文字で表現できるよね。
「持ちつ持たれつ」みたいな。
他にも「やつあたり」で済むよね、みたいな。嫌いではないけど、なんかくどくどしてるわぁ…と思っていたのですが。

上巻の半分過ぎたあたりから、不可思議なストーリーが急加速してきて、手が止まらなくなってきました!

仕事も家事もあるから、寝る前に2~3章ずつくらいしか読めないんだけど、日々の用事をすべて済ませて本を開けば、テーマパークのごとくあの世界が待っている…と思うと毎日楽しみで。

そう、これこれ、これが本の楽しみなんだよね!と久しぶりにゾクゾクしました。

各章のタイトルもおもしろいです

目次をちらっと見た時、各章のタイトルがずいぶん変わってるなぁと思ったら、すべて、本文のどこかを切り取ったものなんですね。

なんだかどれも70年代の洋楽の曲名みたいです。

毎回、このセンテンスはどこで出てくるんだろうと無意識に探しながら読んでしまいましたが、それも「ウォーリーを探せ」的でおもしろかったです。

イデアについて考える

物語の終わり近く、主人公と少女の会話中で「イデア=観念」と定義されていますが、ストーリーに登場する「形体化したイデア」は身長60㎝くらいの飛鳥時代のかっこうをした小人です。

またまた夜中に「うわぁ、イデアが顕(あらわ)れちゃったよ!」と声をあげたら娘が来て、「イデアってどんなの?」と聞くので、「ちっちゃいおじさんで、騎士団長の恰好してて、『そうではあらない』とかヘンなしゃべり方する」と言ったら「なんか腹立つ」って言ってましたが(^^;)イデア、なんともかわいいです。

「イデアのエネルギー源は、イデアを見ている人」なんだと説明すると、「じゃあこの本のエネルギー源も読者って言いたいのかな。本を閉じたら世界も消えるから。」と娘。

なるほど。イデアは作品と読者のメタファーでもあるのか。これぞまさしく二重メタファー…だんだん訳が分からなくなってきました。すみません。

いよいよクライマックスに突入するという時、主人公のために犠牲を払って死んでいく騎士団長の姿は、どことなく、”ハリー・ポッター”に登場する「屋敷しもべ妖精」のドビーを思い出させました。

もし映画化したら…免色(めんしき)氏はあの俳優さん

最後の数十ページは、山の中へキャンプに行ったので、そこでゆっくり読みました。

帰り道、ちょうど前を「白いスバル・フォレスター」が走っていたので、まさか宮城ナンバーだったら…?!とワクワクしましたが、そんなことはなかったです。

読み終えて、映画化するとしたら…と考えてみました。

ていうか、すでに私の脳内では、白髪の謎の富豪・免色(めんしき)氏は、陣内孝則さんしかもう浮かばないです(笑)。

ご本人がきれいな白髪だから…という安直な結び付けですが。

でも、完璧にスマートだけど心のどこかに狂気の入り込むスペースを持ち、清潔なシャツに上品なカーディガンやジャケットを着こなしてジャガーに乗る紳士…って、イメージぴったりじゃないですか?

秋川まりえ役はオーディションの新人の女の子で、秋川笙子役は吉高百合子さんって感じです。(これはどうでもいいですね、すみません)

で、騎士団長(イデア)の声は、中尾隆聖さん(フリーザの中の人)!

おわりに

ということで、1年以上、150人以上の予約を待った甲斐あって、久々の村上春樹ワールドで非常に楽しい時間を過ごすことができました!

娘に再度「読み終わったから読んでみる?『コップにはまだ水が16分の1も残っている』ってギャグが3回も出てくるけど」って言ったら、やっぱり「いい」と却下されました(^^;)

返却予定日は少し先ですが、明日図書館に返してこようと思います。この後待っているたくさんの人たちのために!

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