今回は2016年7月出版の『ツバキ文具店』(小川糸 著/幻冬舎)を読みました。
2017年の「本屋大賞」4位入賞作品です。
鎌倉の町を舞台に、「代書」という仕事を通じて人と深く関わり、丁寧に道具を選んで文字を綴る主人公の暮らしに心が和むとともに、自分の毎日も新しいことばかり追うのではなく、本当に好きなことを大切に暮らそうと思える素敵な物語です。
多部未華子さん主演で、2017年NHKでドラマ化。
http://www.nhk.or.jp/drama10/tsubaki/index.html
キャストのイメージもぴったりです♪
『ツバキ文具店』は、文房具が大好きなお友だちのおすすめ本でした
ここ最近、本屋さんや図書館にふらっと出かけて目についた本を読む…ということが少なく、何か目的があって出向くことばかり。
そんなわけで、今年読んだ本はほとんどが友人やライター仲間からのおすすめ本となりました。
この『ツバキ文具店』もそんな1冊で、ブロガーズギルドの「読書部」仲間、mauさんからのおすすめだったんです。
◆mauさんのブログ&Twitterはこちら↓
mauさんは文房具や手帳、雑貨などが大好きで、セレクトが超絶センス良いので、Twitterで紹介してくれるペンやレターセット、文房具屋さんのツイートを眺めているだけでもワクワクします♪
『ツバキ文具店』を教えてもらってすぐ図書館に予約したのですが、まさかの30人待ちで、結局半年かかりました…。すごく良かったので早く買えばよかった(^^;)
『ツバキ文具店』代書屋の仕事は、ライターにも通じる
主人公・鳩子の仕事は「代書屋」といい、ただ指定の文章を代わりに清書するのではなく、依頼人とじっくり話し、その人になりきって文面も考え、その人ならこんな紙にこんな文字で書いたに違いない…というところまで一筆入魂で書いて仕上げます。
「相手の求める文章を書く」という仕事は、私のやっている「ライター」の仕事にも通じます。
このクライアントさんで、読者がこんな年代のこういう方だったら、ここはあえて柔らかくひらがなで書くべき…等といつも私も考えながら工夫して書いていますし、「書きあがったら封をする前に一晩置いて、かならず朝読み返してから投函する」というところも同じ。
納品前に少し寝かせて、クリアな頭で読み返し、違和感がないか確かめてから納品しています。
以前に読んだ「騎士団長殺し」(村上春樹 著)でも、芸術家として絵を描くことと、依頼を受けて肖像画を描くことの違いについてはくりかえし書かれていました。
クリエイター・職人・作家・アーティスト…呼び名は色々ですが、何かを作り出す仕事をする人にとっては、クライアントワークは常に依頼人×自分=作品となるのですよね。
でも、鳩子はまだ
どこを切っても私のDNAがあふれ出すような、そういう自分の分身のような文字
は書いたことがない、とあります。
これも、「文字」を「文章」と置き換えてみるとすごくよく分かる。
ご依頼を受けて書いた文章が自分100%というのはないですからね。(有名人の自伝とかは別ですが)
私もこのブログが「どこを切っても私のDNAがあふれ出すような、自分の分身」のようになればいいなあと思います。
『ツバキ文具店』を読んでいると、自分の暮らしもいい流れになりそう
鎌倉は日本有数の観光地でありながら、自然も豊かな場所。
物語を読んでいると、小高い丘の緑や夜の静けさ、海の気配などが身近に感じられます。
主人公が、日常のちょっとした家の手入れや、便箋・筆記具・インクの色・切手などをひとつひとつ心を込めて選ぶ時間を追体験していると、自分も丁寧に時間を過ごしてみようと思える効果もあります!
こんな素敵なお店とサービスがあったら、インスタやらfacebookやらブログやらで発信すればいいのに…と思ってしまいそうですが、あえてしない。(もちろん知らないわけではない)
私は毎日ライターの仕事をしていてブログやSNSでも情報収集&発信しています。
すると、「時代は動画!ブログなんて過去の遺物になる」「これからVtuberの波に乗り遅れたら終わり」みたいな発言をよく見かけるので、「もう世の中に文字や文章を読みたがる人なんて消えつつあるのかな…」と焦ってしまうこともあるんですね。
実際その通りなのかどうかはともかくとして。
『ツバキ文具店』を読み終わる頃には、余計なことまで気にしてジタバタせず、日々の暮らしと仕事、やるべきことからぶれずに(それもあくまで自然体で)生きることに立ち返れる、そんな気がします。
『ツバキ文具店』は鎌倉観光案内にもなっているので、旅行前にもおすすめ
主人公の鳩子は、一人暮らしということもあり、夕食をお店に食べに行ったり、ご近所さんとランチに行ったりする場面がよく登場します。
実在のお店やそこへ至る道の様子も描かれていて、まるで一緒に鎌倉の街を歩いているような気分になれる、もう一つの楽しみ方ですね。
これから鎌倉へ旅する人にも超おすすめです!
さらに、小説やドラマの人気を受けて、ガイドブックまで出ています。
Amazonレビューには、地元の方でも楽しめるとあり、かなりマニアックなお店情報も期待できそうですよ。
地元住民です。OzMagajin ,Hanakoなどは観光客目線なのですが、地元をよくご存知な方が編集されている本だと感じました。自分でも知らない店が多数あり、参考になりました。
『ツバキ文具店』続編の『キラキラ共和国』も出ています
実は、『ツバキ文具店』は、翌年に続編『キラキラ共和国』(2017年10月)が出ています!
続編はまだ私も読んでいないのですが、ちらっとSNSで見たら、意外な展開があるとか?!
ぜひ読んでみなくては。
おわりに
今回本が届いたのがちょうど年末で、年賀状の時期だったこともあり、やっぱり手書きもいいなぁと味わいながら読むことができました。
鎌倉の雰囲気を満喫できて、色々な文房具のことも知れて、登場人物の心の交流にほっこりできて、自分の仕事と真摯に向き合う主人公の姿勢に「わたしもがんばろう」と前向きになれて…ステキな時間を過ごせる本でした。
今回は図書館で借りましたが、買って手元に置く値打ちは十分にある1冊だと思います!
◆文庫版はこちら↓
※今のところ(2018年末)、Kindle版や電子書籍は出ていないようです。
◆DVD↓
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◆観光案内↓
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◆続編↓