外出中に赤ちゃんが泣きだしてしまった時、すぐに迷惑にならない場所に移動できればいいのですが、そうもいかない場合もありますよね。
今回は、そんな状況の時に私が実際に言われた言葉で、忘れられないものを3つお話しようと思います。
3回とも、60代くらいの女性(いわゆるオバちゃん世代)からの言葉ですが、内容はまったく違うものでした。
さっそく振り返ってみますね。
その1:近所のスーパーで
これを書いている今、大型の台風が近づいています。
もう12年も前の話ですが、その日も勢力の強い台風が近づいていました。当時上の娘が5歳・下の娘は赤ちゃんでした。
午前中に長女の習い事に付き添い、普段ならそのまま家に帰るのですが、台風が来ると家から出られなくなる心配があったので、食材を買っておきたかったんです。
次女はそろそろお腹も空きはじめ機嫌が悪くなりつつあるのは気付いていました。
でもその日は、朝出がけに離乳食をひっくり返して着替え直したりでバタバタして、赤ちゃんせんべいなどのオヤツも持ってきていなかったんですね。
と言ってしまえばそれまでです。私の準備不足ですよね。
最大限に急いで買い物を済ませましたが、同じこと(台風前の買い出し)を考えている人が多かったのか、レジもずいぶん混んでいました。
ぐずっていた下の子がレジを待つ間に本格的に泣き出し、あと2人というところで大泣きに…(;´Д`)
あと少しだからと、抱き上げてあやしながら並んでいましたが、私が焦っているのが伝わるのか、ますます泣き声はヒートアップ。
並ぶのをやめて、連れ出して泣きやませる方が良かったのかもしれません。(といっても、おそらく家に帰って授乳するまで泣きやまなかったと思いますが)
やっと順番が来てレジが終わりました。片手で抱っこしながら袋詰めは危ないし、急いで済ませようとベビーカーに寝かせましたが、おろされた娘はギャン泣きです。
すると、隣のレーンあたりから、60代くらいの女性がツカツカと近づいてきて、
「アナタね!公衆の面前で、こんなに泣かせて!!」
と叫んだのです。
それは、一度見たら忘れられないような、全身バラ柄の真っ赤なワンピースに同じく真っ赤な口紅、塩沢トキさんのような(分かるかな…?)色付きの大きなメガネ、イヤリング・ネックレス・指輪など驚くほどたくさんの宝石をつけた女性でした。
「すいません、すぐ終わりますので」
と言って袋詰めを続けましたが、
「言い聞かせればわかるはずよ!それをこんなに、公衆の面前で泣かせるなんて!!何を考えてるの?!」
と、真横に仁王立ちで、その女性はののしり続けます。
その時、たまたま同じ習い事に通っていた子のお母さんがそれを見つけて駆け寄ってきて、「手伝うね!」と残りの商品を詰めるのを手伝ってくれたんです。
お礼を言って下の子を抱きかかえ、急いでスーパーを出ました。
その女性は後を追ってきて、最後に振り返ると、10メートルほど離れたスーパーの出口から、大声で「公衆の面前で!」と叫んできました。
それ以上は振り返らず、荷物をベビーカーに積んで娘を抱きかかえ、上の子を連れて大急ぎで帰りました。
そのスーパーへは、怖くて何か月か行くことができませんでした。
その2:特急電車で
次は、もっと以前の話ですね。
長女が1歳になるかならないかの頃です。
私の父の退職記念に、実家の両親と3世代で温泉旅行へ行きました。
往路は娘もほとんど眠っていて問題なかったのですが、帰りは電車に乗る前に眠ってしまったため乗車後は起きたまま。
最初は良かったのですが、1時間もすると1歳の子なら退屈してきますよね。
眠くはあるものの、さっき寝てしまったためにスムーズに寝付けない娘がグズグズし始め、迷惑になると思って私がデッキに連れていきました。
抱っこして、寝かしつけようと奮闘していると、見知らぬ60代くらいの女性が近づいて来て、
「ちょっといいかしら?」
と。
「あのね、この年の子を旅行に連れてくるべきではないと思うわ。子どもがかわいそうよ。」
どうやら近くの席の方のようです。
「すみません、ご迷惑おかけしてしまって」
と謝ると、
「私はいいのよ、別に泣き声がしたって気にしませんのでね。そりゃ、中には迷惑な人もいると思いますよ。でも私はそうじゃないの。ただ、子どもがかわいそうだから、長距離の旅行はやめた方がいいって教えてあげようと思って。」
「そうですね…。父の退職記念の旅行で、なかなか皆の都合が合わず、やっと実現したもので…ご不快な思いをさせてしまってすみませんでした」
と、(ご本人は迷惑ではないとのことでしたが)もう一度お詫びしました。
すると、
「あら、そうなの?お父様のねぇ…ま、そういうことだったら、許すわ」
と戻っていかれましたが、私はなんともいえない気持ちでした。
子どもがグズグズしてご迷惑をかけたのは事実なので、その点を「うるさい」と言われるのは私も何も言えないです。
でも、もしもどこへも出かけず家と公園の往復だけしていたとしても、子どもは一切ぐずらなくて幸せ100%!ってわけじゃないのに。
今はグズグズしているけど、昨日も今日もおじいちゃんたちとたくさん遊べて楽しく過ごしていたのに…と、少し悲しくなりました。
その3:また近所のスーパーで
最後は、上で書いたのとはまた別のスーパーでの話です。
長女を幼稚園に送ったあと、1歳半の下の娘を連れて、ベビーカーで買い物に行きました。
その日は始めは機嫌は悪くなかったのですが、おもちゃ付きお菓子のコーナーの横を通ってしまったのをきっかけに、触りたがってぐずり始めてしまいました。
ぐずるたびに買い与えるわけにもいかないので、「触らないでね、お店のだからね」と言い聞かせましたがダメで…。
以前スーパーでひどく怒られたことを思い出し、もう買い物はあきらめてお店を出ようか…でも、商品を棚に戻すだけでも時間がかかってしまうし…と困っていたら、1人の店員さん(60代くらいの女性)がニコニコしながら近づいてきてこう言いました。
「いい子やね~。ママを困らせたらあかんよ、いい子にしようね」
と。
娘も、話しかけられたことでちょっと気が変わり、まだグズグズはしていましたが、無事にレジで会計を終えることができました。
「ママ大変やね~。でもこんな可愛い子がいていいね、がんばって!」
私はすごくホッとしました。
おわりに
この3つの体験談に出てきたのは、奇しくも全員が60代の女性です。
ですが、口から出る言葉は、一人ひとりこんなにも違います。
私は、最後の店員さんに温かい言葉をかけてもらって、本当に心からうれしく、自分もおばちゃんになったらこんな風に言えるようになろう!と心に誓いました。
そして今。
スーパーのレジで、後ろに泣いている赤ちゃん連れのママがいたら、順番を譲るようにしています。
ぐずっている子に手を焼いているママを見かけたら、手を貸せるときは手を貸します。
手を貸すことがない時は、ニッコリとその子を見ます。
ママはたいてい、わが子だけでなく周囲からの冷たい視線が気になっているので、私が「大変ですね、でも大丈夫ですよ、可愛いと思ってますよ」という笑顔で見るだけで、すごくホッとした表情をされます。
スーパーで買い物して、お金を払って帰る。たったそれだけのことが、赤ちゃんや幼児を連れていると、達成困難な仕事になる時もあります。
あの頃の私みたいなたくさんの若いママが、少しでも生きていきやすい世の中になりますように。