動画生配信サイトNO.1といわれる『SHOWROOM(ショールーム)』社長・前田裕二さんの『人生の勝算』は、いい意味で意外、予想を裏切るおもしろさでした!
私にとって、どんなところが意外だったのか…3つのポイントを書いてます。
『人生の勝算』読む前のイメージは?
最初に書いてしまうと、なんで自分がこの本『人生の勝算』を読むことになったのかどうしても思い出せません…。
誰かのおすすめだったことは間違いないんです。だから図書館に予約して、半年以上待ってやっと届いた時には、誰が「この本いいよ」と言ったのか、その理由も忘れてしまいました。
私はもともと、ビジネス書に偏見…とまではいかないけどあまり興味がなくて、読むようになったのはここ数年。周りのおすすめで読んでみたら良かった!ということが増えています。
ビジネス書をあまり読まなかったのは、勝手におじさん(組織で働く男性)向けと思い込んでいたのも理由のひとつ。
フリーランスで主婦の私には「スキームをセグメント化してコンセンサスとリスケを」なんて話は関係ない…というイメージがあったんです。(←なんちゅう偏見(^^;))
しかし、ビジネス書を出すくらいの人というのはやっぱり本人のパワーがとびぬけていて、会社組織だけではなく、その考え方や行動パターンがどんな立場の人にも参考になることがほとんどなんですね。
仮にその本が組織運営向けの内容だったとしても、ヒトは生きていれば、マンションの管理組合から子どもの学校のPTAまで、なんらかの組織と関わることが必ずあります。
そして、結婚していれば、家庭はまさに組織運営そのもの!
ただ、「勝算」というタイトルは、勝ち負けにこだわるのが苦手な私にはちょっとヘビーな印象で。
勝ち負けはあくまで結果。それよりも、そこに至る一瞬一瞬に全力で取り組んだのか、人生を楽しんだのかが重要で、勝ち負けは勝手についてくるもの…という考えの私には、あらかじめ「勝つこと」を「計算」するようなイメージはちょっと後ずさりしてしまうワードでした。
ところが、読んでびっくり!
(勝手な)予想をいい意味で裏切り、意外なことだらけの内容でした!
以下、どのように意外だったのかを書いていきますね。
『人生の勝算』意外その1・仮想ライブ空間の生みの親は超アナログな生い立ちだった
ノートパソコンをずらりと並べた本の表紙や、動画メディア事業から、著者はもうバリバリのIT系社長でガジェット大好き…みたいな想像をしていたのですが。
小学生でお母さんを亡くし、路上でギターの弾き語りをしてお小遣いを稼いだエピソードに始まり、日本全国どこへ行ってもその町のスナックに入り、ママと常連客のケンカを仲裁するなど、とにかくアナログ・アコースティックなのが印象的でした。
証券会社勤務時代も、サドルを盗られたままの自転車で立ち漕ぎして通勤し、「5分早く着くから1年で30時間のトク」と考えたり、アメリカへ渡ってからも、世界一辛いという「モンスターカレー」を食べて見せ、同僚たちに「日本人の忍耐力はとんでもない」ことを証明してみせたり。
そして、彼の考える「ビジネスで一番求められること」とは、「シナジーとイノベーションをローンチすること」(←しつこい)とかじゃなく、
- 「思いやり」
- 「スキルよりも愛嬌」
- 「やる気はすべてを超越する」
です。
「投資銀行で成功したのはなぜですか」とか、「新規事業立ち上げの秘訣は?」と聞かれるのですが、ひと言で言えます。「頑張る」ということです。
すごくアナログなんですよね。
ただ、前田裕二さんが他の人と違うのは、やみくもに熱意とモチベーションを持っているだけではなく、そのために具体的に何をするかが考えられていること。
そして、決めたら何が何でもやり遂げるというコミット力の異常な強さだと思いました。
就活であれば、自己分析ノートを30冊(!)書く。
証券会社であれば、毎朝5時に出社して新聞で最新状況をつかみ、9時からそれをもとにお客さんに電話をかける…など。
その原動力はそこまでの人生が逆境であったことから生じていて、泥くさいかもしれないけど、私はそこがとても人間らしくて良いと思いました。
『人生の勝算』意外その2・コンパスは一つだけど一つじゃない
上記に登場する「30冊の自己分析ノート」によって分かるのは、「自分が人生で何をしたいのか」ということ、つまり、航海用のコンパスのようなものです。
前田裕二さん自身は、じぶんのコンパスが指し示すものは「世界一になること」で、そのために圧倒的な努力をする…とはっきり決まっているのですが、それはあくまで自分の話。
自分の価値感が強固な人にありがちな、「これが絶対」と人に押し付けるようなことはなく、人それぞれのコンパスがあっていい、むしろ、ひとりひとり自分のコンパスがしっかりあることが素晴らしい、と考えているんですね。
その例として、お兄さんのことを
他のどんな事柄よりも、家族に時間を使うこと、家族を大事にすることに、「決めている」。
僕はそれをすごく素敵なことだと思っていて、そんな兄を心から尊敬しています。
と書いています。
著者の価値感を紹介しつつも、「あなたもこう生きましょう」とすすめているわけではない、というのが二つ目の意外ポイントでした。
『人生の勝算』意外その3・世界一を獲るのは、唯一自分!…ではない
著者の前田裕二さんは、この本の中で、自社「SHOWROOM」を日本一から世界一の事業・サービスに育ててGoogleを超えると明言しています。
その背景にある、人々が求めるコンテンツ(ソフト)とテクノロジーやデバイス(ハード)の今後の進化についての考察はかなり具体的で説得力があるものでした。
内容的には数ページですが、私は個人的には落合陽一さんの著書より、この本のこの章の方が分かりやすいと感じたくらいです。
ただ、けして「世界一は俺1人が獲る!」と、他人はすべて敵であり対立して勝とうと考えているわけではなく、周囲に大きな愛情を注ぎ、共感してくれる人と協力して高みを目指そう…という考え方なのが、「人生の勝算」というタイトルからは想像がつきにくく、いい意味で意外でした。
おわりに
買い物に行った時などに、すごく感じがよく面白く気持ちのいい店員さんだなと思ったら、たいてい店長さんだったりするのですが、この本も、その時と同じような心地よさを感じられる本でした。
いくら勝算があるやり方でも、私にはそれはできないな~という内容もたくさんありますが、そこが応援したくなるところ。まさにこの本で言うところの「余白」なんですね。
既存の価値観に疑問を持っている若い人たちに、ぜひ読んでほしいなと思いました。
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