テニス全米オープンで優勝し、日本人初のグランドスラム(全豪オープン・全仏オープン・ウインブルドン・全米オープンの4大会制覇)を成し遂げた大坂なおみ選手。
【速報】大坂なおみ、セリーナを破りテニス全米オープンで優勝!日本人初のグランドスラム制覇(写真:アフロ) pic.twitter.com/Hh4HwAB77d
— ライブドアニュース (@livedoornews) 2018年9月8日
そして2019年1月、ついに全豪オープンで優勝し、アジア勢初の世界ランキング1位に輝きましたね!本当に感動です。
本人のTwtterより:
”Words can’t describe this feeling.”(訳:この気持ちは言葉では言い表せません)
Words can’t describe this feeling. pic.twitter.com/MUMtR5stV1
— NaomiOsaka大坂なおみ (@Naomi_Osaka_) January 26, 2019
微笑ましい日本語「なんか」は英語だと”well”かな?
試合での迫力あるプレイと打って変わって、試合後のインタビューがいつもかわいくて、毎回ニコニコしながら見てました。
大坂選手は、日本の漫画やアニメが好きで、日本語もそこから覚えることが多いそう。
インタビューでよく「なんか」と言うのが面白いですよね。
「なんか疲れた」「なんか難しかった」などなど。
たぶん英語だと”well…”みたいな感じかな?
「えー」とか「そうですね」的な。
もしくは、”maybe”くらいでしょうか。
「今日は難しい展開だったかもしれませんね」
みたいな。
帰国(どちらかというと来日な気も)時のインタビューでも、錦織選手とのやりとりを語るシーンで”maybe”がよく出てきて、日本語だと多分ここが「なんか」に当たるんだろうなと思っています。
日本向けの公式サイトでは、ご本人からのメッセージにはこんな風に書かれています。
Thank you for your continuous support always. I will do my best on every game!
And I will keep trying hard to speak better Japanese (^ _ ^)いつも、応援ありがとうございます。1試合、1試合、全力で取り組みます!日本語ももっと話せるようにがんばります(^_^)
奥にこめられた意味が深い”I’m sorry”
対して、表彰式でのインタビューに大坂選手が英語で答えた
”I’m sorry it had to end like this.”
は、色々な解釈と意味が考えられて、笑ってはいられないものでした。
後半は「このような結末(終わり方)になって」という意味ですよね。
前半の”I’m sorry”は、学校で最初に習う意味は「ごめんなさい」なのですが、実は、日本語の「ごめんなさい」と英語の”I’m sorry”では、微妙に使い方が違うんですよね。
sorryはもともと「悲しい」という意味なので、「私は悲しい」という気持ちを表すときに使われることも非常に多いんです。
例えば誰かが亡くなったと知った時には、「ごめんなさい」ではなく
”I’m sorry to hear that.”(それを聞いて悲しいです)
となりますよね。
日本の新聞やテレビでは、大坂選手が「ごめんなさい」と謝っているように訳して報道されていたものが多かったです。
たしかに、「こんな勝ち方になってしまって、楽しみにしていたファンの皆さんへ申し訳ない」という気持ちはあったかもしれませんが、それは大坂選手が悪いわけではないですよね。
もともと大好きで尊敬していたセリ-ナ選手が不本意なペナルティを受けてしまったことや、純粋にテニスの腕だけで決着がつき観客もスッキリと応援・祝福できれば幸せだったけれど…という気持ちから出た”I’m sorry”なので、やっぱり、「このような決着になったことは悲しいです(残念です)」と訳すのが、大坂選手の気持ちに近いのではないかと私は思いました。
ただ、大坂選手は、プレイヤーであると同時に、セリーナ選手の一ファンでもあるという面があります。
世界一になった表彰台に立つ選手でありながら、スタンドでブーイング(セリーナ選手が負けたことへの不満)を飛ばし続けるファンたちの側にふと同調・共感してしまい、「(みんなが大好きなセリーナ選手を敗者にしてしまって)ごめんなさい」という気持ちになった…という風にも感じました。
そう考えると、「悲しい」も「ごめんなさい」も両方入った気持ちなのかな。
日本語の「ごめんなさい」には、「御免(=許してください)」の意味が入っていますよね。
英語の”I’m sorry”には、あまり「許して下さい」のニュアンスはなく、そういう時は”Please forgive me.”を使うと思います。
(追記)
後日のインタビューを見ると、その時の気持ちを「みんながセリーナを応援していたのに勝ってしまったから、謝らなければと思ったの」と話していましたね。
私が想像したよりもずっと、「ごめんなさい」という気持ち寄りだったようです。
彼女のピュアな心が伝わってくると同時に、本人は何も悪くないのにと思うと、少し切ないですね…。
おわりに
完全に英語だけ・日本語だけでなく、両方話す大坂選手のインタビューは、「人の気持ちは単語や言い回しだけでは測れない」ということを強く感じさせてくれました。
アスリートの世界にも、少しだけ深く触れられたような気がして感謝しています。
引き続き、気持ちの伝わる英語と日本語を勉強していきたいと思います!
ではでは。